第5章

                ! 無駄に!」そして格好良過ぎて名前負けで、なんだか嫌がらせを受けているみたいだ……。ちょっとトンガリ過ぎというか、日本の高校三年生につけるようなニックネームじゃないよな……。「『あららぎ』の下の方を取って、ラギなのだ」「そりゃわかるけどさ……ニックネームなんだから、もうちょっと愛嬌がある方がいいんじゃないのか?」「それもそうだ。となると、『あららぎこよみ』の真ん中の方を取って……」「取って?」「らぎ子」「それは明らかに嫌がらせだな!」「そう言ったものじゃないぞ、らぎ子ちゃん」「お前はもう帰れ! お前に用なんかねえよ!」「らぎ子ちゃんが私を苛める……ふふふ、だが苛められるのは嫌いじゃない」「くっ! マゾ相手に罵倒は通じない! ひょっとしてこいつは最強か!?」楽しい会話だった。ちょっと楽し過ぎるくらい。何をしている最中なのか忘れそうだ。「こういうこと言っちゃ不謹慎なんだろうけどさ……神原。さっきお前が言った台詞じゃないけれど、僕、戦場ヶ原と付き合う前にお前と出会ってたら、案外お前と付き合っていたんじゃないかと思うよ……」「うん。実は私も、そう思っていた。戦場ヶ原先輩に惹かれる前に阿良々木先輩と出会っていたら、とな。異性に対してこんな気持ちになることは、私にしてはとても珍しい」「はあ……」まあ、戦場ヶ原がいなければ僕は神原と知り合うことはなかったし、それは神原の方にしても同じなので、ありえない仮定なのだけれど。「どうだ、阿良々木先輩。いっそのこと、あの邪魔な女を二人で殺して埋めてしまおうか」「怖いこと言ってんじゃねえよ!」これだけ言葉を交わしているのにお前のキャラがいつまでたってもつかみきれねえよ! 計り知れねえ! どれだけ深い奴なんだ、神原駿河!「戦場ヶ原はお前にとって尊敬している先輩なんだろうが……ったく、意外と腹黒い奴なんだな、お前は」あいきょういじばとうふきんしん せりふひはか16試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中「あまり褒めるな。照れてしまう」「褒めてねえ」「阿良々木先輩には何を言われても嬉しいのだ」「このマゾ女……」「マゾ女。いいな。もっと言ってくれ」「…………」中学時代の戦場ヶ原を信奉していた彼女が、現在の戦場ヶ原の本性に触れ、うまくやっていけるものなのかどうか僕は密かに心配していたのだが、その特殊な感性がある限り、いらぬ心配は無用のようだった。ともあれ、神原駿河。彼女は、実は百合である。ここまでのやり取りでわかる通り、先輩として慕っているだけではなく、戦場ヶ原ひたぎのことを、心の底から愛している。言ってしまえば、そう、神原と僕とは恋敵の関係にあるのだった――それなのにこうして、僕と腕を組んで歩いているというのだから、わからない。まあ大方、先月末のことで、僕に対して負い目があるというか、僕に対して恩義を感じてしまっているというか、そんなところなんだろうけれど……。後輩になつかれるのは、先輩としては気分悪くはないが、でも、それが誤解の産物だというのは、少し居心地が悪い。忍野の言葉を借りれば――戦場ヶ原同様。神原もまた、一人で勝手に助かっただけなのに――「………………」まあ、しかし、そうだな。恩義や誤解云々はともかく、神原の中で過度によくなってしまっている僕のイメージを、ある程度調整しておく必要はあるかもしれない。イメージを崩しておくというのか……、あんまりいい印象持たれ過ぎていると、いざなにかあったとき、必要以上に失望させちゃうことになるし。というわけで、阿良々木暦イメージ悪化計画。その一。金にだらしのない男。「神原、財布を忘れてしまった。すぐに返すから、お金を貸してくれないか」「わかった。三万円くらいでいいか?」お金持ちでした!ほしんぽうひそゆりいごこちおしの17試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中うーん、時間にだらしのない男……は、待ち合わせに僕が先んじて来ていた以上説得力がないだろうから……。阿良々木暦イメージ悪化計画その二。やたらとエロい男。「神原、僕は今、女性の下着に興味があるんだ」「ほう、奇遇だな、私もだ。女性の下着は芸術品だと、私は思っている。なんだ、話が合うではないか、阿良々木先輩」話が合っちゃった!そうだよ、僕がエロさで神原に敵うわけがないじゃないか……いや待て! 普通のエロでは無理でも、それが特殊なエロならば僕にも勝機があるはず……!「特に興味があるのは小学生の下着なんだ!」「益々話が合うな! さすがは阿良々木先輩! 世間の荒波何するものぞ、素晴らしい生き様だ!」「評価が上がっちゃったー!」なんでだよ。えーっと、じゃあ、阿良々木暦イメージ悪化計画その三(もう既に面白くなってきたので当初の目的は見失っている僕)。誇大妄想的な夢を語る男。「神原、僕は将来ビッグになる男だぜ!」「言われなくとも知っている。というより、既に阿良々木先輩は途方もなくビッグではないか。それ以上大きくなられては、そばでお仕えするのも一苦労だな」「くっ……!」いや、この程度は予想範囲内!更に続けるぜ!「僕はミュージシャンになる!」「そうか。ならば私は楽器になろう」「意味はわからねえけどなんだか格好いい!」僕の中での神原の評価が上がった。だから、なんでだよ。「阿良々木先輩、さっきから何を言っているのだ? わざわざそんな風に言い聞かせてくれずとも、私は阿良々木先輩のことを既にこれ以上なく敬愛しているぞ?」「ああ、どうやらお前には何を言っても無駄なようだな……」ますます18試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中僕に何を言われても嬉しいのと同様、僕がどんな人間であってもとにかく敬愛するつもりらしい。「しかしわからない。どうしてお前はそこまで僕のことを過大評価するんだ」「何を(继续下一页)六六闪读 663d.com